
【秋祭りと紙】岸和田だんじりの提灯に光る和紙
2025.10.08
秋祭りと紙の話
― 岸和田だんじりの提灯に光る“和紙の美” ―
秋は全国各地でお祭りが行われる季節。
先日、岸和田のだんじりを見に行ってきました。
昼間の迫力ある曳行ももちろん圧巻ですが、夜になると一転、だんじりに灯る提灯の明かりが幻想的。
街全体が柔らかな光に包まれ、まるで紙そのものが息づいているようでした。
提灯に使われている紙とは?
だんじりの提灯に使われているのは、主に和紙です。
特に「美濃和紙」「土佐和紙」「阿波和紙」など、伝統的な手すき和紙が多く使われてきました。
和紙は、
- 光をやわらかく拡散する
- 薄くても強度が高い
- 通気性・吸湿性に優れる
といった特徴があり、まさに光を“包む”ための紙として理想的な素材です。
提灯は「光源を隠しながら、明かりを伝える道具」。
その微妙な透け感と温もりを演出できるのが、他ならぬ和紙の力なんですね。
和紙が生み出す“柔らかな光”
だんじりの提灯の光がやさしく感じる理由は、和紙の繊維構造にあります。
楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの植物繊維が絡み合い、ランダムな隙間から光をにじませる。
これにより、LEDやろうそくの直線的な光がやわらかく拡散され、あの独特の“ぼんやりとした温かさ”が生まれます。
秋の夜、だんじりの提灯を見ていると、光と紙の関係がいかに深いかを感じずにはいられません。
伝統と現代の融合
近年では、耐久性を高めるために合成繊維を混ぜた和紙や、難燃加工を施した紙も登場しています。
伝統的な風合いを保ちながら、屋外の使用にも耐える“現代の和紙”です。
紙がつなぐ「祈り」と「美」
岸和田のだんじりは、単なるお祭りではなく、地域の絆と文化の象徴。
そしてその中で、紙は“光を包む器”として人々の想いを支える存在です。
紙は軽くて儚いけれど、だからこそ強く、美しい。
提灯の光のように、人の心をやさしく照らす素材だと思います。
弊社でも和紙の取り扱いをしています
弊社では、和紙・特殊紙の取り扱いも行っております。
和紙・特殊紙の風合いを活かした製品づくりをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
皆さまのアイデアを“紙の力”でカタチにするお手伝いをいたします。